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2008年3月 9日 (日)

統制陶器 その5.仁丹・TOTO・INAX

電子レンジの回転皿のような盆である。言わずと知れた仁丹の広告が入っている。仁丹のフリガナ以外は全部漢字で中国語の広告文になっている。戦前から仁丹(森下仁丹)は広告、看板、販売促進のノベルティなどを使い広域的な宣伝活動を展開しており、中国も例外ではなかった。大々的な広告活動の効果があってか中国でもかなりの売れ行きがあり、仁丹は非常に知名度の高い商標であった。

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中国における仁丹の歴史を語る上で、ふれるべきエピソードがある。
仁丹が市場を席巻するなか、民族ブランドの衰退を危惧した上海で薬局を経営する黄楚九が「仁丹」に対抗して「人丹」なる商標の薬を発売した。仁丹も人丹も中国の発音では共にレンダンである。人丹も広告活動に力を入れ知名度が上がってくると、仁丹はついに人丹を商標権の侵害で訴えを起こした。ところが法廷は仁丹の主張を認めず仁丹敗訴の結果に終わる。このことに加え反日団体の働きかけもあって、仁丹の広告掲載を中止した新聞もあったようだ。1920年代のことである。第一次世界大戦後、1919年山東省のドイツの権益を日本が引き継いだことに端を発したいわゆる五四運動に象徴される反日・愛国運動の社会情勢の影響を少なからず受けたに違いない。

裏を見てみよう。岐1087の刻印とバックマークに日本陶業株式會社とTOYOTOKIKAISHAとある。日本陶業株式會社は1917年に伊奈長三郎が創業した会社で、現在はINAXの子会社である。TOYOTOKIKAISHAとは1917年創業の東洋陶器であろう。盆のマークはこの2社の名前の組合わせになっているが、いわゆるオールド東陶の裏印とは違うものだ。このようなマークがあったのだろうか。

2社に共通するのは大倉和親である。大倉和親は東洋陶器(現TOTO)の大株主であり社長、1924年に創業の伊奈製陶の大株主であり会長であった。伊奈製陶の経営不振時には私財を投じてまで伊奈長三郎を支援している。非常に深いつながりがあって当然であるが・・・

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また統制番号が気になる。この仁丹と同じ盆は別なところでも見たことがあるが、裏には統制番号はなかった。一方、岐1087は別な皿でも見ることができる。所在地からすると日本陶業株式會社がこの岐1087の業者に盆の製造を委託したと考えられる。

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コメント

はじめましてりちょうけんです。
とても興味深く拝見させてもらっています。
この分野まだまだよくわからない部分が多いので紹介してくれてありがたく思います。
よろしければリンクしたいのですがいかがでしょうか。

投稿: りちょうけん | 2008年3月10日 (月) 13時56分

りちょうけんさんご覧いただきありがとうございます。りちょうけんさんのブログはよく拝見し勉強させていただいています。これまで集めてきた中国もの(統制陶器に限りませんが)が増える一方、浅学のため分からないことも多くいろいろな方のご意見頂戴できればと思いブログをはじめました。以後どうぞよろしくお願いいたします。リンク大歓迎です。

投稿: mao | 2008年3月10日 (月) 22時17分

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